
登山活動記録
山行日 | 2025年9月21日(日) |
標高 | 秩父御岳山1080m, 猪狩山822m |
登山コース | かかし駐車場~猪狩神社登山口〜鞍掛山~猪狩山〜秩父御岳山~かかし駐車場 |
標準コースタイム | 6時間40分 |
コースタイム実績 | 4時間49分 |
距離 | 11.2km |
上り/下り(累計) | 1075m/1073m |
駐車場 | かかし駐車場(無料/5台) |
山行記録
5月上旬の赤岩岳と宗四郎山以来、約4か月ぶりとなる埼玉登山は、白泰山と赤沢山を目指しましたが、登山口からガスガスだったため、道迷いや熊との遭遇の危険性を考慮して撤退。
急遽、未踏の猪狩山と15年振りとなる秩父御岳山に登ってきました。

AM7:10
猪狩山登山のスタート地点となる駐車場がある秩父市の三峰口駅に到着しました。
三峰口駅は木造のレトロな外観の駅舎で、山間の静かな終着駅らしい趣があります。
秩父鉄道の終点にふさわしい、哀愁と言いますか、どこか懐かしさを感じる佇まいです。

三峰口駅にある有料駐車場に車を駐車しようとしましたが、荒川の反対側の贄川地区にかかし駐車場なる無料駐車場があることがわかり、そちらへ移動します。
ちなみに三峰駅口駐車場の値段は530円/日です。

三峰口駅から荒川に架かる白川橋を渡ると秩父ジオグラビティパークというアクティブ施設が見えました。
バンジージャンプや空中散歩が楽しめるようですが、見るからに怖そうで高所恐怖症の私には絶対無理といいますか、あそこに立つことを想像しただけで股がもぞもぞしてきました。
スリル大好きな方、是非チャレンジしてみてください。

AM7:15
で、着いたのがこちら。
草むらの空いたスペースを拝借したら、朝からとてもシュールな光景が迎えてくれました。
駐車場の入口に「かかし見学の方の駐車場です」と書かれている通り、贄川地区は「かかしの里」として知られています。
人口は約200人ほどですが、かかしの数は50体を優に超え、画像のようなかかしが立ち並ぶことから「人よりかかしが多い町」と言われるようです。

昔は贄川宿として三峯神社の参拝客や、街道を行き交う商人で賑わったそうですが、昭和5年に秩父鉄道が開通したことで交通の流れが変わり、宿場町としての役割が薄れると少子高齢化と人口減少が進み、昼間でも人通りが少ない「ゴーストタウン化」が進行しました。

そこで地域の人々が「少しでも昔の賑わいを取り戻したい」と考え、平成28年頃から手作りのかかしを町中に設置する活動を始めたとのことです。
現在では60体以上のかかしが街並みに並び、観光客を楽しませています。
ユニークなかかし達の効果もあってか、町全体からはアットホームな雰囲気が感じられます。
ただ、夜に知らない人が通ったらめちゃくちゃ怖いだろうと思います…

駐車場から荒川寄りの近所に管理されて綺麗な公衆トイレもありました。
トイレの右手は秩父御岳山へ繋がる登山道ですが、今回は猪狩山から登るので皆野両神荒川線(県道37号)を猪狩神社方面に進みます。

荒川西小学校の右手を進むと…

鋭くそびえる猪狩山が見えてきました!
富士山に代表されるように、均整の取れた三角形の山は古来より信仰の対象とされてきました。
猪狩山も、この鋭く綺麗な山容ゆえに、秩父の人々の崇敬を集めてきたと考えられます。

AM7:50
トンネルを抜けた先の古池地区にある、蕎麦屋「そば福」さんの看板がある角を曲がると、猪狩山の登山口である猪狩神社の入り口へと続きます。
こちらのそば福さんは地元でも評判の人気店で、香り高い手打ち蕎麦が絶品とのこと。
下山後に寄ろうと思っていましたが、日曜日は夜営業(17:00~)のみだったので、また後日にリベンジしたいと思います。

猪狩神社の手前には、車が1台ほど停められそうなスペースがありました。
ただし、登山者用駐車場かはわからないので、利用する際は自己責任でお願いします。

反り立つ壁のように迫る猪狩山の山容と、その麓に静かに佇む猪狩神社が見えてきました。
険しい山の気配と、神域の厳かな空気が交わります。

本殿への石段を上ります。

AM8:00
猪狩神社の名前は、日本武尊の東征にまつわる伝説に由来します。
この地に荒れ狂う猪の群れがいたとされ、それらを退治したことから「猪狩」の名がついたと伝えられています。
また、秩父の三峯神社には、日本武尊が山中で道に迷った際、白いオオカミが現れて道案内をしたという伝説があることから、この一帯では古くから「お犬さま」と呼ばれるオオカミ信仰が根付いており、猪狩神社の狛犬もオオカミの姿をしています。

登山道は本殿の左側から入ります。
踏み跡は薄く、草が生い茂る急登を登っていきます。

AM8:12
林道跡に出た途端、登山道の痕跡は消えて、どっちに進めばよいのか分からなくなりました。
明確なルート案内はなく、周囲を見渡しても登山道と確信できるものは見当たらなかったので、左手に見えた通行止めの虎ロープの右手の斜面に取りつきました。
この辺りから、「この山、大丈夫かな?」と不安が頭をよぎりはじめます…

尾根に取りつくとルートは少しわかりやすくなりましたが、急登は続きます。
足場も緩いザレ場で非常に登りにくい道が続きます。

左手に林道が見えてきました。
少し安心しますので、これから登られる方は、この林道を一つの目印にするとよいかもしれません。

AM8:27
再び林道跡に出ると、ようやく「猪狩山」の案内が出てきます。
この先もルートがわかりにくいため、猪突猛進で直登しましたが、ここの急登がとにかくキツかった…。

ようやくザレ場が終わったと思ったら、次は鎖とロープの連続。
道は狭く、左手が崖の所もあり神経を使いつつ、大量の蜘蛛の巣がイライラを募らせ、倒木や登りにくい足場で、みるみる体力も削られていきます。

気が紛れる展望も少なく、秩父方面の景色と…

木々の隙間から見える武甲山くらいでした。

それでも山頂付近では、広葉樹の綺麗な緑が広がり、気持ちが少し紛れます。
秋には綺麗な紅葉が楽しめそうです。

AM9:00
猪狩神社登山口からちょうど1時間で猪狩神社奥宮がある鞍掛山に登頂しました!
長い急登を登ってクタクタ…
標高は760mですが、正直、標高が低い山であることに舐めてました。
暑さもありましたが、想像以上に苛烈な急登がめちゃくちゃキツかったです。
登山後に調べたところ、この急登の勾配率は30%と、北アルプス三大急登のひとつである燕岳・合戦尾根の24%を上回り、笠ヶ岳の笠新道に匹敵する険しさでした。
加えてルート難、行く手を遮る蜘蛛の巣や木の枝、スズメバチなどストレス要素が満載で、精神的にも体力的にも疲労困憊の登頂となりました。

山頂では木陰で裸になって、栄養補給しながら風を浴びて身体を冷やして体力の回復を図りました。
奥宮の右手には木立の間から小鹿野町の長閑な街並みを望めます。

11月の第3日曜日には猪狩神社の奥宮祭が行われて、ここ奥宮で神事が執り行われます。
宮司さん達が装束衣装を身にまとい、秋刀魚などのお供物を背負って、ここまで登ってくるっていうのだから、麓の古池地区の方々には感嘆の一言です。
今年の開催日は11月16日ではないかと思います。
狼にちなんだ楽しい催しのようで、私も参加できたらと思っていますが…。

体力が回復したところで、猪狩山へ向かいます。

狭い稜線を進みますが、ここも枝と蜘蛛の巣エリアで進路は狭く、滑落箇所もあって、スムーズに進めないジレンマとの戦いで、我慢の山行が続きます。
鞍帰山から猪狩山までは実質10分程しか歩いていませんが、非常に長く感じる行程でした。

AM9:30
登山開始から1時間30分。ようやく猪狩山登頂です!
山頂には石に手書きの山頂標識がありました。
YAMAPではこちらの山が鞍掛山、先ほどの奥宮が猪狩山となっていますが、オオカミ信仰の参考文献においても「猪狩山の標高は822m」と記されていますので、YAMAPが間違えている可能性が高いです。

山頂は、特に休憩するスペースや展望もなく、稜線上のピークといった感じでした。
鞍掛山登頂時に比べたら体力に余裕が出てきたので、休まず御岳山へと向かいます。

御岳山に近づくにつれて、登山道は徐々に歩きやすい道へと変わっていきます。
それに伴い、歩行のリズムも整って、どんどん快適な登山になっていきました。

所々出てくる急登は、足を滑らせないように気を付けて登ります。

痩せた尾根もありますが、滑落に注意して慎重に進めば、そこまで難しさはありませんでした。

三峰口駅方面の登山道と合流ポイントを過ぎれば、山頂はもうすぐ。

AM10:35
秩父の名峰、秩父御岳山に登頂です!
私にとっては15年振りの御岳山ですが、やはり御岳山の普寛神社はカッコイイ!!
秩父御岳山は、木曽御岳山の王滝口を開いた普寛上人が開山したと伝わる信仰の山。麓の落合地区が普寛上人の生誕の地とされています。

山頂の鐘を鳴らすと「ゴーン」という太く厳粛な音が山々に響き、鐘の音のみが聞こえる静かさの中で厳かなひと時を過ごしました。
神様に「お蔭様で怪我無く登山を続けられています。15年前よりも少しは山登りのレベルも成長しました。」と報告しました。

そして普寛神社の裏手から見える迫力のある両神山。この絶景は相変わらず素晴らしいです!
右手にクレイジーマウンテンの二子山が見えるのも埼玉の山心をくすぐる景色です。

石造りの山頂標識が達筆でとてもかっこよかったです。
喧騒も、仕事もモヤモヤも忘れて、神聖な雰囲気に浸った後、下山の途につきます。

下山には駐車場へ直通する三峰口駅方面への登山道を選びましたが、道はずっと歩きやすくて快適でした。
体調も回復して、”足も動く動く”でペースも本日の最高潮に達します。
初心者の方には、このルートをおすすめしたいです!
なんて言いながら調子に乗って突っ走っていたら、まさかの道ロストを2回も…。
結局、全然成長してませんでした(笑)

AM11:55
下山の手前、鉄塔のある開けた場所からは、里山らしい眺望を楽しむことができました。
ここも素晴らしい景色です。

下山すると、かかし達が秩父のシンボル武甲山を見つめていました。
スタート時と同様に、ラストもちょっぴりシュールな光景で締めくくりとなりました。

下山メシは秩父のラーメン屋さん、「麺や凛」さんへ。
ねぎらーめん(900円/ねぎの量は※武甲山)をいただきました。
※ねぎの量を山の名前で増量できるシステムが、山好きの心をくすぐります!
(富士山200g 武甲山150g 羊山100g)
武甲山なので中盛ですが、青ネギの下にも白髪ねぎがスープに浸かっていて、ねぎだくさんです。
背油系とんこつですが、全然くどさやクセもなく、スープは飲み干せるくらいの美味しさでした!
めちゃくちゃ美味しくてリピ確定です✨
消費したエネルギーをリカバリーして、無事の帰宅となりました🍜
まとめ
猪狩神社から猪狩山の山頂までは、予想以上の急登が続き、登頂時にはまさかのグロッキー状態となってしまいました。
標高が低いことで油断していたことや、朝食を軽めにしたことなど、今回の登山では反省点もありましたが、それも含めて良い勉強となり、登山の難しさを改めて実感しました。
とはいえ猪狩山は、体力に自信がある方にはぴったりの山ですので、ちゃんと準備をして臨んでいただだければ、心地よい達成感が待っていると思います!
15年ぶりに登った御岳山では、久しぶりに目にした両神山はやはり絶景でした。
山々に響き渡る鐘の音も印象的で、信仰に根ざした厳かな空気に触れることで、心身ともにリフレッシュできました。やっぱり素晴らしい山です。
前回は大滝から痩せ尾根コースを登りましたが、そこそこ険しかった記憶がありますので、登山初心者向きとは言い難いコースです。
もし経験の浅い方とご一緒される場合は、贄川地区からの登山コースの方が歩きやすく、おすすめです。
かかし達のアットホームな雰囲気と、どこかシュールな一面という二面性も楽しめて、充実した山行となりました。