
桂木山と桂木観世音菩薩堂

桂木山は毛呂山町にある標高372mの山で、桂木山の山頂は眺望は望めず、標識があるだけですが、毛呂山町のホームページに以下のように紹介されてます。
滝ノ入地区にある桂木山は、「桂木寺略縁起」によると、奈良時代の高僧・行基(668~749)が訪れた地と伝わっており、行基が当地を訪れた際、その風景が大和国(現在の奈良県)葛城山に似ていることから、「桂木」という名となりました。
行基により堂宇と仏像が作られたことで評判となり、多くの信仰者から寄進があったことで観音堂を含めた七堂伽藍が建立されたと伝わっています。

麓には歴史ある古刹の桂木観世音菩薩堂が建立されており、古代仏教文化の信仰の形として桂木寺伝釈迦如来坐像(埼玉県指定文化財)、桂木観音堂木彫仏群(毛呂山町指定文化財)が伝わっています。
桂木寺像は10世紀の作、桂木観音堂木彫仏群のうち僧形坐像は10世紀の作、本尊千手観音立像は11世紀作とされ、桂木寺像は作風の特徴から東国地域で活動していた在地仏師によって造像された作例と言われています。
在地仏師による作例としては県内最古級であるとともに、当時の毛呂山周辺の仏教文化の隆盛を伝えるだけでなく、古代東国における在地仏師の造像活動の様子を考える上でも重要な作例とされています。
また、近年の研究により、桂木寺像は、造像当初の左手に薬壺をのせていたと考えられる「ホゾ穴」が確認され、桂木寺像も「薬師悔過(やくしけか)」に基づく、薬師如来である可能性が指摘されています。
周辺地域では、飯能市常楽院に伝わる10世紀作の薬師如来坐像があります。11世紀以降では、行蔵寺薬師如来坐像や越生町下ヶ戸薬師堂の薬師如来立像があります。
このように外秩父周辺に多くの薬師如来像が伝わっており、10世紀から11世紀にかけても毛呂山周辺で「薬師悔過」による薬師如来像の造像があったと考えられています。

春には満開の桜が桂木観世音菩薩堂を包み込み、鳥の鳴き声が響く静けさの中で、歴史情緒に華を添えてくれます。

桂木観音展望台

桂木観世音菩薩堂のすぐ下には桂木観音展望台があり、関東平野の絶景を楽しむことができます。
江戸時代後期に編纂された『新編武蔵風土記稿』では、「ここより房総、上下野州、或いは秩父の山々など目の当たりに見渡されたり、また近くは川越城、伊佐沼など眼下に見えり」と記されていることから、桂木山一帯では当時から眺望を遮るものがなく、現在の千葉県、茨城県、栃木県、群馬県などの関東一円を見渡すことが可能な景勝地だったと推測されます。
登山コース
桂木展望台駐車場から登山をスタートし、桂木観世音菩薩堂を通って裏手を登り、約15分で桂木山に到着です。
この山だけを目指して登山する人は稀で、多くの登山客は大高取山とセットで登ります。
標準コースタイムと難易度
60分| 難易度★☆☆☆☆