笠ヶ岳登山 超急登で過酷な笠新道コース往復一泊二日テント泊

笠ヶ岳
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笠ヶ岳登山活動記録

山行日2022月10月1日(土)~10月2(日)
標高2898m
登山コース新穂高第2駐車場~笠新道登山口~杓子平~抜戸岳~笠ヶ岳山荘~笠ヶ岳往復
標準コースタイム14時間30分(休憩なし)
コースタイム実績14時間58分(休憩含む)
距離20.2km
上り/下り(累計)2301m/2304m
グレーティング6C (岐阜県)
駐車場新穂高第2駐車場(有料/200台)

山行記録

北アルプスの登山シーズンも終わりが近づいている10月の頭、久しぶりに埼玉を抜け出して登山仲間と北アルプスにある日本百名山の笠ヶ岳に一泊二日のテント泊に行ってきました。

コースは北アルプスの三大急登に匹敵すると言われる過酷な急登が続く笠新道コースの往復。
笠ヶ岳山荘までの標高差は1700mですが、笠新道から杓子平を経由して、笠ヶ岳と双六岳方面を分ける笠新道分岐までの登りは、わずか3kmの距離で1500mの標高を上げる、北アルプスでも屈指の急登です。

ちなみに北アルプスの三大急登は、合戦尾根(燕岳)、早月尾根(剱岳)、ブナ立尾根(烏帽子岳)で、日本三大急登は西黒尾根(谷川岳)、ブナ立尾根(烏帽子岳)、黒戸尾根(甲斐駒ヶ岳)とのこと。

それでも合戦尾根の平均勾配率24.6%に対して笠新道は31.5%とも言われており、笠新道を登った殆どの登山者がキツかったと口を揃えるこの激登を、テントを担いで登ることができれば、一つの勲章と言いますか、何か一つ自分に自信が持てるのではないかと思い、チャレンジしてきました。

1日目 新穂高〜笠新道〜笠ヶ岳テント場

笠ヶ岳登山新穂高駐車場

AM6:15
AM5時に開放される新穂高第2駐車場に車を停めて、駐車場の向かいにある奥飛騨温泉郷観光案内所でトイレと登山届の提出を済ませて出発です。

新穂高には他にも24時間営業の駐車場など何百台規模で停められる駐車設備が整っていますが、私が到着した午前2時には既に槍ヶ岳や奥穂高、西穂高方面の登山客でごった返し、駐車場は全て満車。この新穂高第2駐車場の開門待ちに並んで、ようやく駐車出来ました。

笠ヶ岳登山道林道入口

AM6:40
駐車場からスタートして、林道を笠ヶ岳、双六岳方面に進んで、登山道に入ります。

笠ヶ岳登山道林道

笠新道登山口まで50分程ひたすら砂利道を進みます。

笠新道水場

AM7:30
笠新道登山口に到着です。
水場があり、めちゃくちゃ美味しい湧き水を飲むことができます。
一息ついて、いよいよ始まる笠新道の急登に備えます。

笠新道入口

既に狭い登山道。
決して歩き易い道が待っている訳ではないことが分かります。
気合を入れて、急登を超える激登の笠新道にいざ、入山!

笠新道
笠新道のハシゴ越え

早速、垂直のハシゴを越えて行きます。

笠新道の岩場

岩場も越えて行きます。

笠新道の急登

またハシゴと続きます。こんな感じでハシゴ、岩場の急勾配を何回もおかわりさせられる、わんこ蕎麦状態を登って行きます。

笠新道1700m地点

AM8:30
笠新道に入って1時間で、少しずつ嫌気が…標高を示す案内板が唯一の心の拠り所です。

笠新道から見える穂高連峰

標高1700mを越えた辺りで、背後に穂高連峰が見えてきました!

笠新道1800m地点

AM8:55
1800mの案内もあります。

笠新道からの焼岳、乗鞍岳

南側には焼岳と乗鞍岳も見えてきました!

笠新道の登り

笠新道特有のつづら折りの登山道を登って行きます。急登ではない所も単調な道で気持ちが滅入ってきます。

笠新道からの槍ヶ岳

AM9:40
綺麗な槍ヶ岳が見えてきました!
この辺りの眺めは壮観で、メンバーも大興奮!

ザックを下ろしてこの景色を堪能!疲れも忘れる一時。

笠新道のハシゴ

それでも厳しい急登は続いて、登る意欲をこれでもかって位に削られます。膝と太ももがプルプルし始めて本当にキツイ!

笠新道と青い空

空が綺麗な青で天候は気持ちが良いのですが、メンバー全員疲れ過ぎて、あの何だかわからない頂を笠ヶ岳の山頂と勘違いする有様でした。

厳しい笠新道

さすがにヒーハーします。

笠ヶ岳からの槍ヶ岳

森林限界を抜けると視界は開けて、秋の装いの槍ヶ岳が美しい水色の空に穂先を伸ばしています。
笠新道の登山中はずっと見られる槍ヶ岳が、足取りが重くなった私達を何度も奮い立たせてくれました。

笠ヶ岳登山穂高連峰

更に右手には大キレットからの北穂、奥穂の稜線!
迫力のある絶景です!

笠ヶ岳登山杓子平

AM11:40
なんとか急登を乗り越えて、ようやく杓子平に到着!めちゃくちゃ疲れましたが、1番の急登エリアはクリア!

杓子平は巨大な摺鉢のような形状で、向かい側に笠ヶ岳がありますが、ガスってて笠ヶ岳山頂は確認できず。

このガスが山頂までの距離感が掴めず後々精神的な苦痛に繋がっていきます…
息を整えて笠ヶ岳に向かいました。

笠ヶ岳登山杓子平登山道

杓子平を進みます。この辺は勾配が緩やかで、のんびりと登山を楽しむことができました。

それでも笠ヶ岳の稜線に近づくにつれてまた勾配が増えていきます。

笠ヶ岳杓子平急登

足場もガレてきて歩き辛く、杓子平で休んで回復した体力もあっさり使い果たします。

ガスがなければ広大な杓子平と笠ヶ岳の景色が目の前に広がって、素晴らしい登山道になるのがわかりますが、それは見られず、ひたすら急坂を登ります。この笠ヶ岳稜線手前がめちゃくちゃキツかったです。

笠ヶ岳登山抜戸岳

PM1:20
ようやく笠ヶ岳の稜線に取り付きました。笠ヶ岳と抜戸岳(双六岳方面)の分岐にあたります。
荷物をデポして笠ヶ岳と反対方向にある抜戸岳に向かいますが、この辺りは浮石が多いなど、唯一の足場不安定エリアでした。

笠ヶ岳稜線歩き始め

抜戸岳に登ったら、往復20分程で分岐点に戻ってきました。

ここから、笠ヶ岳山荘まで距離2.3km、標高差180mを登る稜線歩きです。

笠ヶ岳稜線

この稜線がまた長い。かなり疲労が溜まっているので、歩いても歩いてもゴールに辿り着かない錯覚に囚われて、早くゴールしたい気持ちだけで歩きます。

笠ヶ岳長い稜線

更にガスっていて山頂までの距離感が掴めず、何度も繰り返すアップダウンの登り先が笠ヶ岳と間違えて、その都度「まだゴールじゃない」の絶望的な気持ちになります。
心身ともに疲労困憊の中進み続けます。

笠ヶ岳稜線クライマックス

前に進めなくなる様子。

笠ヶ岳テント場到着

PM2:45
それでも登山開始から8時間30分、ようやくテント場に到着!全員ヘロヘロです。過去最強クラスにキツかったです。既にテント場には、数十張のテントが。

笠ヶ岳山荘

標高2814m、笠ヶ岳山荘でテント場の受付を済ませました。
アルバイトの若い店員さんが爽やかな接客をしてくれて好印象でした!

【笠ヶ岳山荘、テント場情報】
・テント場の宿泊料金は2000円/人(水、トイレ代込み)でした。
・笠ヶ岳山荘の少し下にキャンプ指定地がありますので、受付を済ませて許可証をテントに掛けます。
・ビール(キリンラガー,スーパードライ) 350mlが600円です。
・水は雨水で臭みがあり美味しくないのでミネラルウォーター(300円/500ml)の購入をお勧めします。
・トイレは笠ヶ岳山荘のトイレを使います。テント場から片道10分程歩くので不便です。

山小屋の詳細はこちらからご確認ください👉笠ヶ岳山荘HP

笠ヶ岳テント場

テント場は整備されていますが、ゴツゴツした岩場も混在して、少し勾配もあります。
到着順が遅かったので場所取り合戦に負けてしまい、大きい岩の間の地面が斜めの場所に張る羽目に…実に寝難い勾配でした。
それでもメンバーが最年長の私を気遣ってくれて、一番良い場所を譲ってくれました。

笠ヶ岳の夜

PM6:15
秋の冷たい空気とともに雲の流れが落ち着き、ガスも次第に綺麗な雲海へと変わり、目の前には薄暮の中に槍ヶ岳から大キレット、穂高連峰が姿を表しました!
槍ヶ岳の肩と北穂高岳の鞍馬にそれぞれ槍ヶ岳山荘と穂高山荘の明かりが綺麗に光ってます。

テントの中からこの北アルプスの雄大な眺めを見ながら飲むビールは格別の味で、本当に最高でした!

多くの登山者を魅了するこの山々をテントから一望できるのがこのテント場の素晴らしいところです。この絶景を見ながら寝床に就き、笠新道を登ってきた充実感の中、1日目を終えました。

2日目 笠ヶ岳テント場〜笠ヶ岳〜新穂高

笠ヶ岳の夜明け

AM5:15
明けの明星から浮かび上がる北アルプスの名峰のシルエットを見ながら起床。
昨夜立ち込めていたガスもなくなり、山頂へアタックするには絶好のコンディションでした!
御来光を見るために準備を整えて頂上に向かいます。

笠ヶ岳登山山頂御来光待ち

AM5:35
テント場から山頂までは15分程で到着。
既に山頂には御来光を見ようと続々と登山者が集まっていました。
そして日の出を待つこと10分…

笠ヶ岳御来光

AM5:45
笠ヶ岳山頂からの御来光は、槍ヶ岳と穂高連峰を繋ぐ大キレットのど真ん中から昇り始めました!
この季節ならではのめちゃくちゃ感動的なシーンです!

笠ヶ岳山頂

笠ヶ岳の山頂標識です。
ガスが晴れて稜線の向こうに槍ヶ岳が望めます。素晴らしい景色!

笠ヶ岳登山山頂記念

その槍ヶ岳をバックに、無事登頂の記念に仲間と中途半端な”笠ポーズ”で撮影☆
私(左から2番目)はシャッターに笑顔が間に合わず真顔…
気持ちは満点の笑顔だったのですが…

北アルプスの山々

周りには北アルプスの山々がいっぱい見えます!黒部五郎岳、鷲羽岳あたりでしょうか。

乗鞍岳と御嶽山

少し暗いですが乗鞍岳と御嶽山。

八ヶ岳と富士山

南アルプスの甲斐駒ヶ岳と北岳、その裏側に富士山も見えました!

笠ヶ岳山頂の祠

山頂の祠には無事にここまで登ってこれたことへの感謝と下山の安全を祈願しました。

笠ヶ岳山頂からの白山

祠の裏も素晴らしい雲海の眺めで、遠くには白山が見えていました。

笠ヶ岳の稜線

自分達が歩いてきた道。
そしてまたこれから歩く道をしっかりと見つめてからテント場に戻ります。

笠ヶ岳山荘の看板で記念撮影

笠ヶ岳山荘に戻ったら、笠ヶ岳山荘ボードを持って、笠ヶ岳とのツーショットをパチリ☆
テントを回収して帰路に着きます。

笠ヶ岳稜線のサヨナラ

本格的な稜線に入る所で『サヨナラ』の文字が。
温かさと切なさと、帰りも気を付けて帰ろうという決意を感じさせてくれるメッセージでした。

笠ヶ岳稜線からの美しい山頂

青い空と緑の山肌とグレーの砂岩のコントラストが素晴らしかったです!

笠ヶ岳の長く続く稜線

2日目は気持ちの良い秋晴れで、視界も良好。
笠ヶ岳名物の稜線歩きを堪能できました。

笠ヶ岳

登りの時はあんなに長く感じた稜線ですが、帰りはあっと言う間に終わり、杓子平を下り始める辺りで名残惜しさに振り返ると、美しい笠ヶ岳の姿と山頂まで続く美しい稜線を見ることができました。

この稜線の美しさが笠ヶ岳に来る登山者を魅了し続けているんだろうと思います。
杓子平を経由して笠新道で下山しました。

まとめ

自身のレベルアップを求めて挑戦した笠新道は、長く険しい道のりでしたが、ヘトヘトになりながらも最後まで登り切ることができました。
稜線や山頂からの景色も素晴らしかったですが、それ以上に辛い思いに負けずに頑張った勲章として記憶に残る山じゃないかなと思います。

本当にめちゃくちゃ辛かったので、ソロだと無理だったかもしれませんし、仲間と励まし合ったことで登れたかなと思います。

北アルプス随一の急登と言われる評判通り、過去一で辛かったですが、西穂高から見た笠ヶ岳のカッコイイ姿に憧れていつか登りたいと思っていた夢も叶って、苦労した分に見合った達成感を得ることができました。
これである程度の難易度の高い山でも一泊二日でのテント泊で行けるという自信もついたので、今後の登山活動もエリアを広げて行動できそうです。収穫の多い大満足の山行でした。