奥穂高岳登山活動記録
山行日 | 2023月9月9日(土)~9月10(日) |
標高 | 3190m |
登山コース | 上高地~明神~徳澤~横尾~涸沢~ザイテングラート~穂高岳山荘~奥穂高岳往復 |
標準コースタイム | 17時間(休憩なし) |
コースタイム実績 | 19時間30分(休憩含む) |
距離 | 36.4km |
上り/下り(累計) | 2312m/2308m |
グレーティング | 7C (長野県のグレーティング表を見る) |
駐車場 | 沢渡第三駐車場 (700円/日) |
山行記録
今回のレポートも埼玉県外の山行で、早めの秋登山は一泊二日で北アルプスの盟主・奥穂高岳に行ってきました。
メンバーは去年、笠ヶ岳を笠新道往復から一泊二日テント泊に行ってきた3名です。
テント泊の予定でしたが、私は足の調子が悪くて急遽穂高岳山荘泊まり、他の二人はテントで、上高地から河童橋~徳澤園~横尾~涸沢~ザイテングラート~穂高岳山荘~奥穂高岳の王道往復コースで行ってきました。
【沢渡駐車場、バス/タクシー情報】
沢渡駐車場は公営の方が24時間営業(民間はAM5:00~)で、AM4:50着でも空いてました。
タクシー会社の方の話では、夏シーズンが終わってから紅葉シーズンを迎える前の9月上旬は混雑が少し落ち着く穴場の時期だそうです。
その後バスターミナルにあるタクシー乗り場でタクシーに乗り換えて上高地に入りました。
料金は以下の通りです。
・沢渡駐車場料金:700/日
・バス:往復2600円(チケット販売開始4:50、バス始発5:00その後30分置きに順次出発)
・タクシー:片道4600円(定額)
タクシーの場合、4人で乗ると片道1150円/人になりますので、バスよりも少しだけお得になります。
相乗りする方もいらっしゃいました。
私達は3人だったので、ちょっと高くつきましたが、5:30のバスに乗り遅れたタイミングだったこともあり、また30分待つのも嫌だったので、時間が無駄にならず良かったです。
1日目 上高地~涸沢〜穂高岳山荘
5:45
上高地に到着です。
登山届もこちらで提出して、出発の準備を整えます。
ここから先ずは横尾まで3時間ひたすら平坦な道を歩きます。
6:10
上高地の名所の河童橋です。私が登山を始めてから十数年、ようやく来ることができた上高地で憧れの河童橋を見ることができました!
ここから穂高連峰を綺麗に望む景色を期待してたのですが、生憎の曇りで暗い河童橋です。下山時にまた来るので、穂高の絶景はその時に期待しました。
メンバー全員が寝不足と病み上がり(コロナ、夏風邪、ストレス性胃炎)で、穂高山荘までのロングコースを最後まで登り切れるかという不安も手伝って、口数は少なめ。河童橋の写真のようにどんよりとした雰囲気でスタートしました。
とはいえ折角の上高地なので、無理やりテンションを上げて進みます。
7:05
明神に着きました。相変わらずチームは雰囲気はどんより。
明神は岩魚の塩焼きが人気のようです。今回は食べられませんでしたが、次回来た時は岩魚にビールを楽しみたいです。
8:00
それでも徳澤園は小説『氷壁』の舞台ということもあり、聖地巡礼じゃないですが、私はここに来るのも夢だったので、この日初めてテンションが上がります。
9:20
横尾大橋です。ずっと平地歩きでしたが、ここからいよいよ山登りが始まります。
ただ、まだメンバー全員体調がイマイチで、身体が重くて「さあ登るぞ!」っていう意気込みがイマイチなため、行くか止めるか話し合いますが、とりあえず涸沢までは頑張ろうということで続行しました。
10:30
本谷橋で休憩。
ここから本格的な登りになるので、息を整えます。
しかし、この辺りからメンバー全員の調子が良くなり、急にペースも上がり始めました。テンションも上がってきます。
11:20
調子は更に良くなって、快調に登っていけました。やっぱり登り始めると調子が出るのでしょうか。
足元も整備されていて登り易く、そこまでの急登ではないので、快適に歩けました。
いよいよ涸沢カールが見えてきました。
12:15
涸沢ヒュッテ到着です。ここも憧れの場所でしたので、気持ちが昂ります。
来ました!ずっと憧れていた涸沢カールはめちゃくちゃダイナミック!!
この絶景を実際に自分の目で見ると感動して鳥肌が立ちました!
色とりどりのテントを期待してましたが、前日の台風の影響か、テントはかなり少なめでした。
涸沢ヒュッテの名物、おでんをいただきました。これがめちゃくちゃ美味しかったです!
お世辞ではなくて、街中の美味しいおでん屋さんレベルです。昆布出汁の旨みがしっかり出ていて、深みがあります。
特にじゃがいもがホクホクで、新じゃがのような旨みが凝縮されていてびっくりしました!
勿論、大根も卵も他も美味しかったです。※じゃがいもがセットに入っていない場合もあるようです
こんなに美味しいおでんがこんな山奥で食べられるなんて、からしマシマシとノンアルで、最高の昼食でした!!(おでん盛り合わせ1000円)
次来たときは絶対にとっくりを持参して熱燗飲む!って決めました(笑)
このおでんパワーの注入で、俄然元気が出てきたので、勢いに乗ってザイテングラートに向かいます。
14:45
ザイテングラート取り付きまで来ました。穂高岳山荘までの最難関ポイントですのでヘルメットを装着して進みます。
この手前でザイテンから下りてきた60歳位の男性の方が、取り付きを過ぎた辺りで転倒してました。
ヘルプで駆け寄ると、ザイテンをクリアして安心したようで、よそ見をしてしまったとのことです。
滑落事故が多いエリアなので注意してザイテンに入ります。コースタイムではここから穂高山荘まで1時間10分です。
ザイテンの名の通り、岩場が長く続きます。急な所では鎖やハシゴが取り付けられています。
濡れている所はちょっと怖いですが、三点支持で注意して登れば難易度はそれ程ではないと感じました。
ただ、上高地からだと登山開始から9時間を過ぎてきますので、疲れのピークを迎えます。
また、2800m付近の高度で酸素も薄く、ペースが上がらず、集中力も持続しません。休みながら、確実に登って行きました。
穂高山荘まで20分の所まで来ました。
もう少しですが、ここに来てガスで視界が利かず、風も出てきてかなり進み難くなりました。
更に涸沢のおでんだけではエネルギーが足りなかったのか、シャリバテ気味のヘトヘトで仲間から心配の眼差しを貰います。行動食で凌いで一歩一歩進みました。
ザイテングラートは天候や体調などが難易度に大きく影響することを実感しました。
それでも10分後には一瞬ガスが抜けて涸沢カールが一望できました。
この辺りでは既に紅葉が色づき始めていました。
奥穂高はどこを見ても目の前に絶景が広がってます。
15:55
無事に穂高岳山荘に到着です。
予定時刻より遅れてしまって、受付等を慌ただしく済ませて、寝床に直行しました。
この日はそれなりに宿泊者がいましたので、仕切られた畳一枚分のスペースを割り当てられました。
メンバーの二人はテント場に直行して速攻テント張ってました。
穂高岳山荘は寝るスペースが狭くて寝れないって言う方もいますが、私は結構寝れました。
両サイドの衝立が思った以上に効果があって隣を気にする不快指数はかなり軽減されて、非常にありがたかったです。
【穂高岳山荘、宿泊/テント場情報】
私は一泊朝食付きで10700円。(2食付は13500円)
テント場の宿泊料金は2000円/人(水、トイレ代込み)でした。水は量の制限なしです。
穂高岳山荘の北側にキャンプ指定地がありますので、受付を済ませて許可証をテントに掛けます。
ビール代は350mlが600円、500mlが800円です。
山小屋の詳細はこちらからご確認ください👉穂高岳山荘HP
テント場は狭くて設営が大変だった様です。他のテント客が通行するスペースも考慮しなければならないので、テント泊のメンバー二人は四苦八苦だったとか。
更に岩場でペグダウン出来ないので、石を運んで来てロープを括り付けなければならず、苦労した模様。それでも3000mからの涸沢カールの景色は絶景だったようです。
しかしながらどこのテント場でもモンベルのステラリッジテントはよく目にしますね。
私も愛用しているステラリッジは軽量かつ組み立て易く、居住空間も広くて値段も安いという文句なしの本当に素晴らしいテントだと思います。これからテントデビューされる方には絶対にオススメのテントだと思います。今回は持って来れませんでしたが…
一日目の夕食は3人で穂高岳山荘内の自炊所で今日の無事をビールで乾杯して、各々自炊しました。
思いの外疲労が溜まっていたのと、明日の最大の難所の直登ハシゴ越えの不安もあったので、お酒も程々に早めに切り上げて19:30には就寝しました。
2日目 穂高岳山荘~奥穂高岳~上高地
5:00
興奮冷めやらぬ中、何度か目が覚めながらも8時間ほど寝ることができて、朝4時に起床。諸々の準備を終えて穂高岳山荘の朝食です。生卵が付いていて卵かけご飯を食べられます。
おかずは質素な感じはしますが、朝早い時間ですと前日の疲労からあまり食欲は沸かないので、丁度いいおかずの量でした。逆にちゃんと考えられているなと感心しました。
エネルギーの摂取はご飯を食べるのが良いので、足りない方はご飯のお代わりで良いと思います。
ご飯と味噌汁はお代わり自由でした。
5:30
外に出ると昨日のガスは無くなり、遠い平野部に深い雲海が広がる空でした。
涸沢カールの向こうから昇る御来光も素晴らしく、奥穂高岳アタックを前に絶好のコンディションの朝を迎えることができました。
5:50
いざ出発で最大の難所、直登のハシゴ越えです。落ちたら終わりということを肌で感じるので、めちゃくちゃ緊張して登りましたが、天候が良いのもあり、ハシゴや岩をしっかりと掴んで登れば大きな問題はありませんでした。
涸沢カールとは反対の方向に笠ヶ岳が見えてきます。秋空の下、どっしりと構えています。
去年登った笠新道の辛さを思い出しました。
ちょうど笠新道からの杓子平が見えます。(写真中央辺り)
ハシゴを越えれば、岩稜帯を少しずつ標高を上げるようにゆっくりとした勾配で上がっていきます。
コースを外れないことと、浮石さえ気を付ければ、特に難しいところはありません。
山頂が見えてきます。(写真中央)
そしてそのまま稜線を進むと…
6:30
ついに奥穂高岳山頂に到着です!
北アルプスの盟主、そして日本第三位の標高3190mからの360°大パノラマは素晴らしい景色です!
憧れ続けて十数年、やっとこの祠のある頂に立つことができました。
心の中で何度も「ヨッシャーーーーッ!!」って叫んで、他の山とは一味も二味も違う達成感を感じて、夢が一つ叶った喜びで思わず涙ぐんでしまいました。
この感動は一生忘れることはないと思います。
登ってきた方向を見返すと涸沢岳から北穂高岳、そして槍ヶ岳が見えます!
手前の前穂高岳から左に八ヶ岳と右に南アルプス、更にその奥に富士山がしっかりと見えます!
素晴らしい雲海と山並み!
こちらは手前から焼岳、乗鞍岳、御嶽山です!
そして圧巻のジャンダルム!
ちょうど天使がいる頂上には数名の方が無事登頂を果たしていました。
奥穂高岳と槍ヶ岳の二重奏もバッチリ撮れました!!
ずっとこの場所で、いつまでも見ていたい景色ですが、上高地まで戻る時間を考慮して下山します。これが登山の寂しいところ。
でもこの寂しさがまた次の山に行きたい気持ちにさせるのだと思います。
7:15
無事に穂高岳山荘に戻ってきました。充実感で胸がいっぱいです!
ようやく緊張感から解放されて、チームで安堵の記念撮影をパチリ。良い笑顔です!
穂高岳山荘の中です。
人気のTシャツも売ってます。
100周年記念の手拭いは売れ切れでした。
「太陽のロビー」です。名前の通り稜線から朝日が昇るのを見ることができます。
窓から朝日が差し込んできてとてもリラックスできる空間でした。
この時も外国人の方がのんびりくつろいでいました。
穂高山荘から下山を開始して、ザイテングラートを無事に下りた辺りで遭難者救助のヘリが近づいてきました。
後日ニュースでも取り上げられていましたが、私と同じ埼玉県の登山者の方が転倒して大ケガをして救助されたようです。
雲が死神のような形に見えたので嫌な予感がしましたが、大ケガはされたものの命に別状はなかったようで本当に良かったです。回復されたら、もう一度チャレンジして無事下山のリベンジを果たしてほしいと思います。
9:50
ザイテングラートを注意して下りて、涸沢まで戻ってきました。
最高の天気で、見たかった晴天の涸沢カールを目に焼き付けることができました!
ここでも最高の景色をバックに3人で仲良くパチリ!!完璧☆
15:55
徳澤園でこれまためちゃくちゃ美味しいソフトクリームを食べて大満足で河童橋まで戻ってくると、観光客で大混雑、お祭りのようでした。外国人観光客も多くいました。
しかも一日目と同様、曇っててここからの穂高連峰の雄姿は見られず。また次回の楽しみにします。
帰りの上高地のバスターミナルは大混雑でしたので、帰りもタクシーを選択。
タクシーは1分も待たずに乗れました。
下山後の一杯
帰宅後は安曇野にある小林わさび店の「葉わさび 醬油漬」を肴に長野の名酒白馬錦で無事の山行に乾杯しました。
この葉わさびの醤油漬けがめちゃくちゃ美味しくて、お土産に超おすすめです!わさびの風味とピリッと鼻に通る絶妙な辛味が最高で、日本酒にピッタリです。知り合いにも買って帰りますが、すごく喜ばれます。
安曇野の本店か、梓川SAの下りのみでしか購入できないため、あまり知名度はありませんが、地元ではかなり評判のようです。(※梓川SAの上りでは販売されていませんのでご注意下さい)私はいつも梓川SA(下り)で購入してます。
絶対美味しいので、長野に行かれた際には是非買ってみてください。逆に他にもおすすめのお土産がありましたら教えてください。
白馬錦も口当たり良く、北アルプス登山後のお酒には最高の一杯です!(こちらは長野のコンビニでも購入できます)
まとめ
山登りを始めてから十数年、ずっと登りたいと思っていた奥穂高岳にようやく登ることができました。2日目は天候も最高で、山頂からの360°に名峰が広がるパノラマは大感動の景色でした。
山頂に至る過程でも、上高地や氷壁の宿徳澤園、涸沢カールや穂高岳山荘など、見所たっぷりで楽しいことの連続でした。
奥穂高岳に登るために4年前からテント泊を前提としたトレーニングを始めて、35km以上のロングハイキングやトレランなどにも挑戦してきましたが、そういった準備と長年抱いていた憧憬の想いが結実して、山頂では「やっとたどり着いた」という感動から、心が震えて目頭が熱くなりました。間違いなく過去最高の達成感と充実感で、筆舌に尽くしがたい思い出の山行となりました。
ザイテングラートと穂高岳山荘からすぐの直登のハシゴ越えは、天候や疲労度、荷物の大きさにも左右されますが、ある程度の経験者であることを前提とすれば、緊張感を持って確実に登れば特に難しいということはないと感じました。これから登られる方は気を付けて行ってきてください。
たくさんの楽しい思い出ができて最高の旅になりましたが、足の不調などコンディションを調整しきれなかったことや、疲労時のエネルギー補給が上手くいかなかったところは反省点かなと思いました。ただ、足の不調から登山靴ではなくトレランシューズで行きましたが、無事に登れたのは大きな収穫でした。
それでもまだ涸沢カールの紅葉や、穂高連峰のモルゲンロートなど、見たい景色はまだまだあるので、また数年後、登りに行きたいと思います。